アメリカの次期大統領にオバマ上院議員が当選した。
このことについて産経新聞の「正論」に納得できる記事があった。
産経新聞の社説は、右翼的、反動的な記事が多いが、今回はそうではない。
文の最後の部分に注目してもらいたい。
『自分たちの持論だけが「真の近現代史」や「正しい歴史認識」であり、異論を唱える者
は「反日的」といった狭量な発想では、論敵はおろか幅広い第三者の支持と理解を獲得す
ることも困難である。』
産経新聞の論客には珍しく、まともなことを言っている。
産経新聞(11月19日)から引用しておく。
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「国民も対米追随の発想脱却を」
ついにバラク・オバマ上院議員(民主党、イリノイ州)が、アメリカの次期大統領に当
選した。しかも、選挙人の過半数270票を大きく上回る大勝である。47歳という若さ
であり、史上初の黒人大統領の誕生である。
である。そのオバマ氏は今、世界との対話をめざし、分裂したアメリカ世論の統一を呼び
かけている。国難にあって統一を呼びかける姿は、南北戦争時のエイブラハム・リンカー
ンを彷彿(ほうふつ)とさせる。リンカーンもまた長身で、イリノイ選出であった。
だが実は、金融危機が発生しなければ、オバマ氏の当選は容易ではなかったかもしれな
い。この危機に対処することこそが、オバマ次期大統領の当面の最大課題である。この点
では、世界大恐慌にニューディール政策で立ち向かったフランクリン・ルーズベルトの姿
が重複してくる。
そして、この危機への対処に失敗すれば、オバマ人気は急速に退潮し1期かぎりでホワ
要課題である。これに比して、アジアでは北朝鮮の核開発問題ですら、新政権にとって優
先順位の高い問題ではあるまい。こうした中での日米関係である。
≪外交の主体的再検討から≫
オバマ新政権は日本にも、アフガンの復興支援への一層の協力を求めるであろう。しか
し、自衛隊派遣はできないというのが、日本政府の立場である。アフガンでどの程度協力
すべきかについては、個別の政策判断の問題である。だが、国連安保理常任理事国入りを
めざす日本として、どのような国際的関与が必要なのかについて、我々は真剣に再考しな
ければならない。国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員は40人にも満たず、
政府開発援助(ODA)の額も削減される一方である。
また、北朝鮮問題でもアメリカの協力を求めるだけではなく、日本として拉致問題の解
決をどのように定義し、そのためにどのような手段と戦略を採るのかを、主体的に再検討
しなければならない。北朝鮮をめぐる核問題も拉致問題も、アメリカの関与なしには解決
できないが、それを求めるだけではない日本の主体性が必要であり、両者のバランスが重
要である。
オバマ氏の大統領当選が日米関係にどのような影響を及ぼすかについて、尋ねられるこ
とが多い。この機に日米関係を日本はどうすべきなのか、どうしたいのかという主体的な
発想が、こうした質問には欠如しているように思われる。
政府や外務省のいわゆる対米追随主義が批判されて久しいが、それを批判するメディア
や世論こそ、発想において対米追随に陥ってはいないか。われわれは民主主義社会に生き
ている。もし有権者が対米追随の発想から脱却できていないとすれば、政府や外務省が対
米追随主義に走ったとて、驚くには当たるまい。
≪国際的なイメージ戦略も≫
最後に、再びイメージの問題である。オバマ氏はアメリカの国際的イメージを変えよう
としている。日本も自らの国際的イメージの向上に、一層の配慮と工夫を必要としていよ
う。イメージの重視と主体性の追求は、決して矛盾しない。前者を無視して後者だけを追
求すれば、それは独善だし、前者だけを意識すれば追随や偽善になる。
「過去を反省しない日本」や「謝罪しない日本」というイメージは、明らかに不正確な
ものである。限られた能力ではあるが、筆者も何度となく国際会議などでアメリカ人やヨ
ーロッパ人、そして、中国人、韓国人と議論してきた。このイメージの歪(ゆが)みを是
正するには、精緻(せいち)な歴史研究が必要なことに、おそらく異論はあるまい。
そうした研究に立脚しつつ、さらに冷静で説得力のある「語り口」も重要ではあるまい
か。
自分たちの持論だけが「真の近現代史」や「正しい歴史認識」であり、異論を唱える者
は「反日的」といった狭量な発想では、論敵はおろか幅広い第三者の支持と理解を獲得す
ることも困難である。日米ともにイメージ戦略を再考する時期に来ていよう。
(むらた こうじ)