ドイツ南西部のシュツットガルトの近くにテュービンゲンという小さな町がある。
人口8万のうち、大学関係者(教職員、学生など)がその半数を占める大学町である。
14年前、私はこのテュービンゲン大学に留学していた。
この夏、14年ぶりにこの町を訪れた。
旧市街など古いたたずまいは昔のままであったが、新しいショップがたくさん出来ていて、
観光地化されていた。
昔は観光客など誰一人いない町であったが、観光化の波は南ドイツの田舎にまで押し寄せ
たのであろう。14年という時の流れを感じさせるものであった。
この大学は1246年創立で、日本では応仁の乱の時代にあたる。
日本が戦乱に明け暮れていた時、ドイツでは学生たちが大学で学んでいたのである。
この大学は惑星の運動に関する法則で有名なヨハネス・ケプラー、詩人のヘルダーリンや
小説家のヘルマン・ヘッセ、哲学者のヘーゲル、シェリングなど、多くの有名な学者や文
化人を輩出している。
さてテュービンゲン大学文学部の日本文学科もたいへん有名で、14年前私はここの学生
たちに日本語を教えていたことがある。
京都の同志社大学と姉妹校になっており、多くの学生は京都へ留学する。
ところが日本文学科で学ぶドイツ人学生の多くは、日本語を学べば学ぶほど、壁にぶつか
り、日本語の習得をあきらめてしまう。
ひらがな、カタカナだけではなく、とくに漢字の習得(音読み、訓読み)は、西洋人には
難しいのであろう。
それでは、彼らはどうするか。
彼らの多くは韓国語に転向するのである。
ハングルならば、音読みや訓読みの難しさもないし、比較的容易に学べる。
何しろ日本語と文法が似ているので、日本語の知識も生かせる。
実際、私が教えた学生の中でも韓国語の専門家を目指している人がいる。
現在、ベルリンのフンボルト大学で博士論文を書いているカロリン・ドゥンケルさんは、
日本語のみならず、韓国語がたいへん流暢で、論文のテーマも何と「日韓関係」である。
ワールドカップをきっかけに、日韓関係に興味を持ったそうだ。
機会があれば、ぜひ金先生に紹介しますので、彼女の論文指導をお願いいたします。
14年ぶりにドイツを訪れて驚いたことが一つある。
スーパーマーケットでキムチを売っていることである。
韓国製品(LG、三星、現代)だけではなく、キムチも国際化してきた。
そういえば最近、テュービンゲン大学の韓国語学科も出来たそうだ。
韓国語を学ぶドイツ人がますます増えることを願っている。